介護の管理職は介護・医療の知識や経験以上にマネージメント能力が求められる
介護の管理職には介護・医療の知識や経験、サービスや役職によっては資格要件もありますが、それ以上にマネージメント能力、人間性が重要な管理職の要素となります。介護の管理職は一般企業と違い「指示だけではスタッフのマネージメントが難しい」というのが現状です。介護現場には様々な専門職、雇用形態、年齢、これまでの職業・生活歴をもった人が働いています。人(スタッフ)が人(利用者)にサービスを提供するので、管理者一人だけではサービスは提供できません。施設長であっても、利用者の方が病気や体調不良となれば看護師や医師と連携する必要があります。しかし、介護現場のスタッフとしっかりと信頼関係が築けていなければ、現場は管理職の思う通りに動いてくれません。ですので、指示だけでなく必要に応じて現場と同じ目線になり信頼関係を築くことが大切です。
「介護管理職=資格が必要」とは限らない
介護の管理職は、介護保険法の許認可要件などの中で資格を必要とするものもあれば、必要でないものもあります。介護現場から昇進し管理職になる方は介護や医療の資格を持っている人が多いですが、介護現場・業界で資格を必要としてない営業や開発、事務をされていた方が管理職になる場合もあります。「介護現場経験者=資格がある=良い管理職」とは限らず、資格がない人でもとても素晴らしい管理職の方もたくさんいらっしゃいます。
施設サービスの施設長資格要件等
居宅サービスの管理者資格要件等
他業種・他社からの転職で成功した管理職と失敗する管理職
成功事例
●【他業種から転職】有料老人ホームの施設長(前職:大手旅行会社の管理職)
介護経験はゼロであったが前職での経験を生かし、日帰り旅行やアクティビティ、レクリエーションなどをスタッフと一緒に企画。不測の事態に備えて施設看護師とも連携。介護職員にも「笑顔の大切さ」を繰り返し伝え、トップダウンであった施設運営を現場からのボトムアップに変更し、コミュニケーションの機会を増やした。結果的に施設は一体感が生まれ、明るい雰囲気となり、入居者の数も増えた。
●【他社から転職】有料老人ホームの施設長(前職:特別養護老人ホーム)
他社では特別養護老人ホームの施設長として10年のキャリアを持つ。仕事にやりがいを感じていたものの、低給与と家族経営の法人だったためキャリアプランが描けず退職。特別養護老人ホームでは「日中おむつゼロ」の排泄ケアや自立支援プログラムなど様々な取り組みで入居者や家族、職員にも評判であった。研修などを増やし、目標を明確にすることでスタッフのモチベーションもあがり施設の離職率も改善された。
失敗事例
【他業種から転職】有料老人ホームの施設長(前職:大手不動産会社のトップセールスマン)
施設の入居率が悪かったため営業に定評のあった大手不動産会社のトップセールスマンを採用。過去の経験からこれまでの入居ルートをヒアリングし、入居率が低迷であった理由を相談員のクロージング力として、現場から信頼のあった相談員に対して施設職員の目の前で叱りとばす。それを見た現場職員は不信感を持ち、その後も現場には指示のみで自らが現場と連携することはなく、結果的に入居率も改善されず、施設長は孤立し退職する。
【他業種から転職】有料老人ホームの施設長(前職:飲食店店長)
飲食店店長経験を活かしサービス業である介護現場の管理者として入社。前職の時培った「お客様第一」を掲げ、“お客様から要望があったらすべて聞く”というスタイルを介護職員へ常に言い聞かせていた所「口だけで自分は何もしない」など介護職員から意見が上がり、前職のマネジメント方法が合わず、介護職員と連携が取れず退職する事になった。