高まる在宅での医療ニーズ
訪問看護とは、疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等が行う療養上の世話又は必要な診療の補助をいい、サービス提供は、病院・診療所と訪問看護ステーションの両者から行うことができます。利用者は年齢や疾患、状態によって医療保険又は介護保険の適応となりますが、介護保険の給付は医療保険の給付に優先することとなっており、要介護被保険者等については、末期の悪性腫瘍、難病患者、急性増悪等による主治医の指示があった場合などに限り、医療保険の給付により訪問看護が行われています。
令和4年の訪問看護利用者数は要支援、要介護合わせて約69万人で、年々増加し、利用者を要介護度別の割合でみると、平成21年は要介護3~5は全体の約66%でしたが令和4年は49%と減少し、一方で要支援1~要介護2の占める割合が増加傾向にあります。在宅医療を受けている患者の大半は75歳以上の後期高齢者で、もっとも多い患者の年齢層は90歳以上です。内閣府が公表した「24年度 高齢者の健康に関する意識調査」によると、高齢者の54.6%が、「自宅で最期を迎えたい」と思っていることがわかります。これに対して、「病院などの医療施設」を最期を迎える場所として選んだ人は27.7%、「特別養護老人ホームなどの福祉施設」を選んだ人は4.5%となっており、この結果にも、在宅医療の需要の高さが表れています。
専門的なケアのニーズが高い利用者の対応をするために
在宅での医療ニーズへの対応が増えている事に伴い専門的なケアのニーズが高い利用者への対応も増えています。退院前後の支援や終末期の緩和ケア、看取り、褥瘡の処置や人工肛門、人工膀胱等の管理等、多職種連携における役割も今後重要な役割となります。令和4年度診療報酬改定においては、「専門管理加算」が創設され、専門性の高い看護師による訪問看護が評価される仕組みが出来ました。また、訪問看護の24時間対応体制の確保については、看護師の負担が大きいことから、今後は夜間・早朝の対応へのさらなる評価や複数の事業所の連携によって24時間対応体制を確保し、職員の負担軽減を図ることが必要も認識し、今後は看護師の働きやすさや各種加算の評価の引き上げも予測されます。
<参考>
・在宅医療の現状について|厚生労働省)
・(参考:高齢者の健康に関する意識調査|内閣府)