訪問看護ってなに?在宅生活を支える訪問看護について

看護師としてのキャリアや働き方を考えた時、訪問看護師に興味を持った方も多くいらっしゃるかと思います。
これから訪問看護事業所でのお仕事を検討中の方へ。
訪問看護とは?から具体的なお仕事内容まで、あなたの不安を解決できたら。
 

訪問看護とは

訪問看護とは病気や障害を持った方が住み慣れた地域やご家庭で、その人らしい療養生活が送れるように看護師などの医療関係者が自宅に訪問し日常生活の支援や医療ケアをおこなうサービスです。主治医の指示を受け、病院と同じような医療処置も行います。
また、利用者とその家族の相談に乗り、アドバイスをすることも重要な業務の一つ。
病院とは違い一対一で時間をかけて向き合う事が出来きるので「一人の看護師」として本質的な看護が出来るのも魅力ではないでしょうか。
利用者のイメージとしては、高齢者で寝たきりの方という印象が持っている方が多いかと思いますが、実は赤ちゃんからお年寄りまでのすべての年齢が対象者となっています。最近では医療的ケア児が増加傾向にあり、全国の医療的ケア児(在宅)は約2万人〈推計〉との報告があります。これは10年前に比べると35%以上増加していることになります。

医療的ケア児:医学の進歩を背景として、NICU(新生児特定集中治療室)等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童)
 

どんな人が働いているの?訪問看護ステーションで働く人たち

次は訪問看護ステーションで働く専門職やスタッフをご紹介します。看護師以外のスタッフはステーションの方針や実施内容によって異なりますのでご参考までに

看護職員(看護師、准看護師、保健師、助産師)
患者の自宅を訪れ、医療ケアや看護を提供する専門職。患者の健康状態を評価し、ケアプランを策定・実施します。利用者の健康管理やメンタルケア、生活支援なども看護師の仕事です。また助産師は一見看護とは関係のない職種に思われますが、看護師資格がないとなれない職種の一つですね。

理学療法士
理学療法士の仕事内容は、身体機能のリハビリテーションを通して「立ち上がる」「座る」「歩く」といった基本動作の向上・維持がメインとなります。
訪問看護の理学療法士が目指すところは、自立支援、社会参加支援になります。

作業療法士
日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など適応能力を維持・改善し、利用者の暮らしや人生に密着したリハビリテーションを行います。

言語聴覚士
言語聴覚士の仕事は、視覚や聴覚に障害を持つ利用者に対して自宅で生活を続けられるように言語訓練を行うことです。
言語訓練のほか、認知力低下を防ぐための高次脳機能訓練や摂食・嚥下訓練も仕事に含まれます。訪問看護における言語聴覚士の仕事は、患者が自宅で最適な言語コミュニケーションを確立し、飲み込み機能を向上させることをサポートすることに焦点があります。

訪問介護スタッフ
高齢者や障がい者の自宅で生活支援を行う専門職。日常生活の手助けや健康モニタリング、社会参加のサポートなどを提供します。

介護支援専門員(ケアマネージャー)
患者のケアプランを調整し、連携を図る専門職。患者や家族と協力して最適なサービス提供を確保します。

事務スタッフ
予約管理、カルテの整備、連絡業務など、事務関連の業務を担当するスタッフ。

管理職・運営スタッフ
訪問看護ステーション全体の運営や組織の管理、予算の立案・管理などを担当する管理職や運営スタッフ。

以上のように、訪問看護の現場では「他職種連携」が特に重要になります。主治医や介護支援専門員(ケアマネージャー)、訪問介護スタッフ、リハビリスタッフなどのさまざまな職種と連携することにより多角的な視点から評価・支援をすることが出来、チームとして利用者の在宅生活を支えるため総合的なサービスを提供することができます。
 

どんな仕事をするの?訪問看護師の仕事内容

訪問看護師は病院やクリニックからではなく訪問看護ステーションから直接、利用者の住む場所に向かいます。
利用者には一人ひとり主治医がいて、訪問看護は、その主治医が作成する「訪問看護指示書」に基づき行われます。
さて、実際にどんな仕事をするか見てみましょう。

〇健康状態の管理
体温や脈拍、血圧や呼吸状態などをチェックし、健康状態に変化がないかを確認します。
また、看護師がいない時間帯の様子などをご家族と共有し、必要なアドバイスをします。

〇医療処置
訪問看護の利用者は、気管内吸引が必要な方や在宅酸素療法を行っている方、カテーテル管理が必要な方、褥瘡の予防・ケアが必要な方、経管栄養法が必要な方、人工呼吸器を使用している方など様々です。
主治医の指示書に基づき、医療処置や治療に必要な看護を実施します。


厚生労働省 訪問看護(改定の方向性)より転載

〇清潔ケア
入浴が難しい利用者には清拭を行い身体を清潔に保ち感染症などを予防します。清拭時に体を動かすことで筋肉が刺激され運動効果を得る事にもつながります。
また皮膚の状態を観察する大事なチャンスです。あざや褥瘡などの有無の確認、爪切りやマッサージ、保湿なども必要に応じて行います。

〇利用者や家族の精神的ケア
訪問看護では、精神的ケアや介護に関する日常生活へのアドバイスも行います。利用者が高齢の場合、介護する家族もまた高齢の場合が多いので、無理なく自宅で介護が続けられるよう精神的なケア、必要なアドバイスを行います。

〇地域の関係機関のサービス利用の提案
重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、市町村では、 地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じた住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムを構築しています。そこでの各種サービスが効率よく利用できるよう情報提供や必要に応じた支援をします。
 

まとめ

今回は訪問看護についての基礎知識、一般的なお仕事内容などのお話をさせていただきました。高齢化が進む日本では医療と介護は重要な役割を担い、その中でも訪問看護に対するニーズは年々高まっています。少し古い資料ですが、内閣府が公表した「24年度 高齢者の健康に関する意識調査」によると、「最後に迎えたい場所」について高齢者の約55%が、「自宅で最期を迎えたい」と思っていることがわかりました。また、同調査の「配偶者に最後を迎えさせたい場所」という項目でも57.5%の人が「配偶者に自宅で最期を迎えさせてあげたい」と回答しています。家族と十分な時間を過ごせ、また一番自分らしくいられる自分の住み慣れた場所で最期を迎えたいという気持ちは誰しもが持っている願いです。その願いを叶えるべく力になれるのは訪問看護師なのです。また、地域包括ケアスステムの観点からも訪問看護師は重要な役割を果たしています。訪問看護師にご興味を持たれた方、ぜひ日本訪問看護人材紹介センターにご相談ください。

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